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沖縄県の文化芸術政策に専門家の登用を

◆沖縄県の文化芸術行政について質疑しました。県は「文化芸術は県民共通の財産」と位置づけています。
その中で専門人材配置の必要性を提起し、特に県内には既に実績ある人材がいるのだから、他県事例の調査よりも地元人材の登用ができることを指摘しました。
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沖縄県の文化芸術行政:きゆな智子


令和6年9月議会
一般質問 2024年10月9日

(喜友名 智子)
文化芸術振興について。
(1) 沖縄県文化芸術振興条例では、県民にとっての文化芸術をどのように位置づけているでしょうか。
(2) 県文化振興計画で取り組む文化芸術支援とは何でしょうか。
(3) 沖縄アーツカウンシルの実績について伺います。
(4) 文化芸術行政の専門家配置の必要性について伺います。


(玉城デニー 知事)文化芸術振興についての御質問の(1)及び(4)、県民にとっての文化芸術専門家配置の必要性についてお答えいたします。

沖縄県は、アジア諸国との交易を通じて、独特の文化芸術を育み、先人たちが守り育ててきた文化芸術を次世代に引き継ぎ、これからの時代にふさわしい新たな文化芸術を創造する必要性があることから、平成25年に沖縄県文化芸術振興条例を制定いたしました。条例では、文化芸術は県民共通の財産として、将来にわたり継承されるよう考慮しなければならないと定めております。

また、文化芸術行政の専門家配置については、文化芸術に精通した人材が文化施策に関わることで、行政と文化芸術団体等との橋渡しとなることや、行政職員の文化芸術に対する意識の啓発及び施策の企画立案に貢献できるなどの効果が期待されています。
一方、長期的な観点から見ますと、その配置の在り方、必要とされる能力、資格、任用の形態などなど様々な課題もあることから、引き続き類似事例の情報収集、文化芸術団体などとの意見交換を行い、文化芸術行政の専門家配置について検討していきたいと考えております。
その他の質問につきましては、部局長から答弁させていただきます。

(文化観光スポーツ部長)
文化芸術振興についての(2)、沖縄県文化芸術振興計画における文化芸術の支援についてお答えいたします。
沖縄県文化芸術振興計画は、新・沖縄21世紀ビジョン基本計画を踏まえ、沖縄県文化芸術振興条例の目指す文化芸術の振興をより一層推進するため、令和5年3月に策定されました。計画では、条例で定める5つの基本的施策に基づき、文化芸術振興施策を総合的に推進することとしており、文化芸術団体への支援については、基本的施策の一つである人材の養成等に基づき展開することとしております。

同じく(3)、沖縄アーツカウンシルの実績についてお答えいたします。
英国発祥のアーツカウンシルは、公的な資金を提供する文化・芸術事業の審査や活動支援を担う専門家による第三者機関とされております。
本県では、沖縄県文化振興会に委託して、民間事業者が提案する文化芸術事業に対する専門家による事業選定、評価・検証、ハンズオン支援等を行う沖縄版アーツカウンシル機能を導入しております。事業の始まった平成24年度から令和5年度までの補助採択事業は、地域芸能継承の取組、音楽による子どもの居場所づくりの取組など、390件となっております。


【再質問】
(喜友名 智子) 特に、専門家配置の必要性についてが一番聞きたかったことです。
知事からの答弁があり、前向きに考えておられるのかと非常にうれしく思っております。
ただ、答弁の中ではその必要性については、県外の類似事例の収集、意見交換を行うという答弁がありました。
沖縄は既に文化政策、全国の中でも先進地です。ほかの事例をわざわざ調べなくてもいいんじゃないかと思っています。
県立芸術大学、それから開邦高校の芸術コース、県内では既に多くの卒業生が出ていて、皆さんそれぞれの分野で活躍をしておられます。

この中には、文化芸術の担い手に加えて、アートマネジメントや、それから文化芸術行政の専門家もいるんですよね。
それから沖縄アーツカウンシルは390件ほどの支援実績があり、経験を積んでいます。他府県の事例を調べなくても、このように現場で頑張って実績を持っているこの方たちをそのまま専門家として登用してもいいんじゃないかと思いますが、改めて見解を伺います。

(文化観光スポーツ部長)  アーツカウンシルに携わる専門家につきましては、県が沖縄県文化振興会に委託して実施しております。
ですので、一義的にはまず文化振興会の中でどういう対応というか、処遇をするかというのがまずあるかと思います。ただ一方で、専門家の機能強化という面では非常に重要だと考えておりますので、今後この雇用形態の在り方等についても、しっかり振興会と協議をして、前向きに検討していきたいと思ってます。
以上です。

(喜友名 智子) ありがとうございます。ぜひ進めていただきたいと思います。
県内でこの事例に当たるかどうか、事例になると思って御紹介をしますけれども、かつて那覇市内で前島アートセンターというところが、各地で「まちのなかのアート展」という取組を行っていました。非常に先進的な取組で、その頃中心にいた方が、今は那覇市内で公民館の館長として活動しておられます。アートと地域を結ぶ非常に重要な役割を担っておられるわけですね。もう公職です、公民館の館長というと。

そして、かつて県では、文化観光スポーツ部長として、演出家の方、文化を基調にした島おこしに携わっていた方を部長に任命したというケースもございます。今回私が質問に入れた意図は、部長クラスのトップダウンというよりも、実務を引っ張る職員として登用したらどうかという意味で行いました。

今の沖縄の文化行政は次のステージに向けて踊り場にいると思います。
条例ができた、計画ができた、現場で様々な支援事業を行って実績もできている。ただ、それがなかなか県の行政の計画の中にまで落とし込めていないのではないかと思うんです。このタイミングで改めて関係団体と話をしていただいて、ぜひ登用の実現に向けて部長のリーダーシップを期待しております。知事のリーダーシップもよろしくお願いをいたします。

(玉城デニー 知事)文化振興事業は、文化振興会への委託だけでもかなりの件数をこなしていただいておりますが、やはり総合的な、プロデュース的な役割の方が外部から県の中で様々な事業とつなげていく、俯瞰的に取り組むための役割とそのチームが必要だと私は認識をしております。ですからそういう意味でも、外部の有識者の方々との意見交換を積極的に進めていきたいと思います。

以上

※文化芸術行政の専門家を県職員として登用することについて、知事・部長からも前向きな答弁がありました。
しかし知事答弁でその役割について「総合的な、プロデュース的な役割」の人材を想定している内容で、質問で問うた「計画をつくることができる専門人材」との位置づけとは異なります。この点については今後も県と議論を重ね、充実した県計画をつくる人材登用と、文化芸術行政の発展につなげていきたいです。