◆物価高の中、農業生産者の苦境が続いています。
飼料・資材の高騰が続く中、県内の畜産農家は厳しい経営状況にあります。
食の自給率向上のためにも、補助制度の継続と拡充で沖縄の第一次産業への支援拡充に取り組んでいます。
配合飼料、輸送費補助については経済労働委員会でも質疑を行いました。
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2024年6月(第2回)定例会
一般質問 2024年7月18日
(智子)非常に厳しい経営状況にある畜産農家への支援策に加えて、減農薬・有機野菜の生産農家からも資材高騰により経営が立ち行かないという悲痛な声を受 け取っております。県の支援策について伺います。
(農林水産部長)資材高騰に係る生産農家への支援策 についてお答えいたします。
県では、畜産農家への支援策として、配合飼料購入費の補助拡充などについて今議会に計上したところで あります。
また、令和4年度から肥料価格高騰対策を実施したほか、令和5年度には、化学肥料の低減定着に向けた堆肥の利用拡大などの取組を支援したところであります。
なお、種苗に対する補助などは行っておりませんが、県が育成したゴーヤー、トウガン、ヘチマの優良品種については平成27年から価格を据え置いて販売されております。 県としましては、引き続き関係団体と連携し、県内農家の経営安定に努めてまいります。
【参考】
⚪︎︎「有機資材リスト掲載一覧表」
>> こちら
⚪︎︎「有機使用可能資材リスト化事業」
平成 22 年度 有機 JAS 規格制度等信頼向上委託事業
>> こちら
配合飼料、輸送費補助について経済労働委員会でも質疑を行いました。
2024年6月(第2回)定例会
経済労働委員会 2024年7月22日
※経済労働委員会への陳情・第114号の内容から質疑をとりあげました。
>> 資料
(智子)配合飼料、肥料などの離島格差緩和のための輸送費の補助。方針の中では離島・本島間の輸送費は補助の対象となっていませんと書いてあります。これはなぜですか。
制度上そうなっていないのか、制度上できるけど、予算がないからできませんと言っているのか、どっちなんでしょうか。
(畜産課長) 本県の離島においては、配合飼料価格等が割高となっており、畜産農家の負担になっていることは認識しています。そのため、県では畜産農家の経営安定を図るため、令和4年度より配合飼料購入の一部を補助しています。
本事業において、離島・本島間の輸送費の補助については、補助の対象となっていませんが、離島地域においては、畜産担い手総合整備事業や畜産クラスター事業等により、草地の基盤整備、草地管理機械の導入等の部分で支援を実施しているところです。
県としましては、当該事業の推進を図るとともに、経営分析や生産者との意見交換等を行ってまいりたいと思います。
(智子) 離島・本島間の輸送費が補助の対象となっていない理由を聞いています。制度の問題なのか、予算の問題なのか、どちらですか。
(農林水産部長) 配合飼料の価格本体に関する補助ということで、飼料に対する補助ですので、例えば船に乗せて離島にやる運賃等は補助の対象外になっています。本事業の制度の関係で、飼料の本体に対する補助です。
(智子) 飼料の本体に係る補助なのは分かりました。離島・本島間で補助がないのはなぜでしょう。
(畜産課長) 本事業における飼料費の補助については、今回令和4年度の配合飼料費の農家負担額から令和6年度価格上昇分の2分の1、もしくは各四半期ごとに設定された補助単価の上限のうち、いずれか低い額を補助することとなっております。
この事業上、県全体の平均について補助する制度となっており、離島の差の部分については粗飼料の生産の部分で担い手育成総合事業や、また優良豚種の品種の普及・推進等に取り組んでいるところです。
(智子)次の陳情ですが、陳情第72号の2で、記事項18として、離島地域における農林漁業資材の移入に係る輸送費の補助もしてほしいという内容があります。
[ ※経済労働委員会 令和6年 陳情第72号の2
>> こちら ]
これも処理概要を見ますと域外出荷コストを補助するもので、書いてはいないですけど、そもそも(補助の)対象外なのだと理解しています。
先ほどの「なぜ離島・本島間での輸送補助はないんですか」との質問と通じますが、これまで沖縄県が行なっている農水漁業に関しての輸送費補助は、あくまでも沖縄県から県外に移出・輸出をするものに対しての補助がほとんどだと思うんですね。
ただ時代が変わっています。今物価高の中では、そもそも沖縄県外、海外から沖縄に対して、移入するとき、輸入するときのコスト自体が高くなってしまっている。エネルギー、ガソリン等々の価格が上がると、県内での島ごとの輸送費自体が上がっている。これまでみたいに、沖縄県内から県外への移出・輸出だけではなくて、外から中に入ってくるもの、沖縄県内の中同士の輸送費の補助をしてほしいというのがこの本質だと思うんですね。
制度を見直して対応できる部分です。輸送費の補助という考え方を移出・輸出だけではなくて、移入・輸入、県内での離島間移動まで含めた上で、生産振興をぜひやってほしいんです。
先ほど制度の問題なのか、予算の問題なのかと聞いたのはおそらく制度の問題だとの考えで聞きました。それだったら制度をちゃんと直すように国とやり取りをして、かつ制度を直した上で予算も増やすと。こういう方向にしていかないと、似たような陳情が多分今後も出てくると思うんですよね。今後の課題としてぜひ認識していただきたいと思って質問しましたけれども部長、いかがでしょうか。
(流通・加工推進課長) 委員おっしゃるとおり、農家の皆さんは今生産資材の高騰で非常に経営が苦しいというのは認識しております。流通条件不利性解消事業につきましては、もともとのその制度が県外へ持っていく農林水産物の補助支援ということでやっているというところです。
この制度は令和4年度から新しくなりましたが、そのときに国との協議においても、移入コストについて協議をしたところでありますけれども、その中でまだ認められなかったというところはあります。
今後、令和9年度になりますけれども、それに向けて関係市町村等と協議しながら、どのような制度がいいかを考えてまいります。
(智子)輸送コストに対する支援をしてほしいという陳情が増えているのは、物価高の中での経営の苦しさが、表層的に出てきた状況ではあると思います。
ただ、沖縄は本来は島嶼県で、経営が苦しいから [という理由] だけではなくて、もともとの輸送費で不利にならないようにしないといけないと。これは沖縄のインフラ、それから産業振興に関しても基本にするべき部分だと思うんですね。
[陳情に対する] 処理概要で「全国における類似の制度を参照しつつ」とありますが、これだけ海域に有人離島が点在する県は沖縄だけなんですよ。多分全国の類似の制度を調べても限界があると思うんです。
逆に沖縄のほうから、輸送に対する課題をちゃんと把握して、それに合わせた制度を国に要求するぐらいのことをやらないとなかなか進まないと思います。令和9年度以降、事業の在り方に関して国とやり取りをしているということですので、もっとアグレッシブに取り組んでほしいと要望しまして、ぜひ部長の見解を聞きたいんですが、いかがでしょうか。
(農林水産部長)担当課長からも答弁がありましたが、令和6年度において、輸送コストに係る実勢運賃の調査を実施しております。令和7年度当初予算に反映するための作業に着手しているところで、県としましても、引き続き生産者団体をはじめ、関係者の理解と協力が得られるよう、また丁寧に意見交換、そして対応してまいりたいと思います。
【経済労働委員会での畜産業視察・意見交換】
県議会定例会が終わった閉会中に、経済労働委員会で畜産業の現状を調査するため視察を行いました。
その際、子牛繁殖・養豚・鶏卵と畜産業全般について意見交換ももちました。
県民の食の中でもタンパク質源となる大切な産業です。今後も支援策の拡充に取り組んでいきます。
↓県議会の報告書(令和6年8月5日)は>> こちら