2024年9月(第3回)定例会
経済労働委員会 2024年10月11日
委員会での陳情審査で、下記の陳情について質疑しながら、沖縄の農業政策の方針について主張しました。
・陳情 令和6年7月24日受理 第133号沖縄県生産資材高騰対策本部「沖縄県農業政策確立に関する陳情」
(喜友名 智子)
[処理概要の2(1)で *1]「食料・農業・農村基本法の改正で、県も注目していきたい」という処理方針になっています。この基本法が改正されるときに、立憲民主党でもワーキングチームをつくって「本来あるべき国の農業政策の方針は何か」と附帯決議まで持っていった経緯がありました。
先ほど他委員から「陳情の処理方針を見ても、農業の方向性というか、県の解決のビジョンが見えてこない」というお話がありました。基本的に農業というのは、まず地元の人たちのおなかを満たすこと、地元で食料生産してそこで消費すること、これが基本にあるべきじゃないかと思います。地産地消は長年言われてきていると思うんです。
*1 陳情審査では、陳情の項目ごとに県の処理方針が記載されています。
ただ一方で、国の農業政策は、牛肉・オレンジの自由化をやったことでもうタガが外れたかのように(コメを)減反し、そして酪農家がバターを作ってもバターが多いから減農しろと言い、生産者の力を根こそぎ奪っておきながら、最近は「稼げる農業をやろう」と言って輸出ばかり力を入れる流れになってきました。その流れの延長で、突然「食料安全保障」と言い出してきた。国の農政に対する検証がないまま、農村基本法の改正案というのが出てきたと思っているので、国の政策を注視するだけでは、変な農政に引っ張られるんじゃないかという懸念をもちます。ぜひ沖縄県では、まずは県民の食を県内の生産農家がカバーできるようにし、地産地消をするための農業というものを目指してほしいんです。
前回の定例会が終わった後に、経済労働委員会で、生産農家の方たちと意見交換をする場がありました。
このときに一番印象に残った話が鶏卵組合でした。かつては、県民に必要なたんぱく質の計算をして、それを賄う卵生産の目標値を立てて、そこが県の農政で守るべきボトムラインであるということを決めて、そこをキープするために(行政が)支援をしていたというお話は、農業政策の在り方として非常に示唆に富むやり方だったと思うんです。
これを卵に限らず、畜産も、それから野菜も、もっと言えば魚も、県民が食べるものはちゃんと自給するのであるというところから、栄養源まで目を配って、目標値を立てて、そこの部分の生産はしっかりと守るのであるというところを、大きな方向性にしていけばいいんじゃないかという考えなんですけれども、こういう議論は農林水産部ではやらないんですか。国の政策についていくだけでは、まだまだ農家が潰れるだけだと思いますよ、競争力のあるところだけ残って。私は食料生産はそうではないと思っています。いかがですか。
(農林水産総務課長)おっしゃるように、農林水産分野で、域内循環を高めて、強みある県民の食料を含めて生産をしていくのは、農林水産部でも議論されています。
かつ、もう一つは、沖縄県の特殊な環境があります。例えば台風が多いなど特殊性がある中で農家がしっかり稼ぐためにはどうしたらいいかというと、県内の価格よりも県外のほうの価格が高いがために、我々は域外に売って、それを所得として、まず域外からの所得を向上すると。それを踏まえた上で、さらに余剰分に関しては、例えば経済循環のために域内地産地消とかも含めてやっていくというのが、これまでの流れであります。
ただコロナ禍のときには、域外に出しても売れなかったものですから、域内循環ということで、経済循環も含めてやりましょう。今度は、今の状況は、諸外国のいろんな情勢も変わってきた中で、食料自給率を高めましょうということなんですが、食料自給率とか、そういう県で生産するものは、県民に対して返すような努力を、今、各種施策を、21世紀ビジョンの農林水産振興計画の中でもうたわれていますので、それはしっかり進めてやりたいと考えております。
(喜友名智子) おそらく農業に限らず製造業でも、この20〜30年の間にどんどん国内のナショナルメーカーもアジアに進出して、多少の円高だったからできたかもしれませんけど、これだけアベノミクスで円安になり、いよいよこの海外生産の一部、もう国内にやっぱり戻ってこざるを得ない状況になっていると思うんですね。
なので、無理して予算を割いて、いつまでも外から燃料や肥料を買うばかりではなくて、県内で生産して、そこで回収できる分は県内の生産力を高めるという意味でも、長期的に見ると雇用につながるとも思うんです。
国の政策は予算を取るときには当然追いかけないといけない部分もあるんでしょうけれども、本当に国の基本方針が沖縄に合っているのかどうかの視点から、離島(島しょ)県での沖縄での農業政策を考えてほしいと思います。
農業はその地域の土でしかできないものです。全国一律に合わせていたら、多分県も難儀するばっかりじゃないかなと思います。ぜひ農業政策のこのビジョンを考えるときには、何を優先してやるべきかというところは、県がしっかり打ち出していただきたいと要望いたします。これについては、部長からの見解をお聞きして質疑を終わりたいです。
(農林水産部長) 委員おっしゃるように、やはりまず、自給率を高めるためには、生産力を上げないといけないと思っております。それは沖縄県農林水産業振興計画の中でしっかりと目標値を定めていますので、その数値になるように生産を上げていくための努力と、また一方、沖縄県地産地消推進計画というのも定めておりますので、それに基づいて、また農業者だけではなくて、生産者、そしてまた消費者、学校給食、観光関係とか、いろんな部分で連携しながら、沖縄県の食の地産地消ということの推進を合わせてやってまいりたいと思います。
以上
参考:
第5次沖縄県地産地消推進計画(令和6〜10年度)
https://www.pref.okinawa.jp/shigoto/nogyo/1010541/1010549.html
農林水産省「食料・農業・農村基本計画」
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/k_aratana/