◆配合飼料に比べ支援が限定的な粗飼料。
現場の畜産農家は草刈りを続けながら副業で生活を支える厳しい状況です。
委員会質疑で「粗飼料への直接支援」による沖縄畜産業者への支援を県に求めました。
2024年9月(第3回)定例会
経済労働委員会 2024年10月11日
(きゆな智子)まず27ページ、陳情第115号。産農家の方からの「配合飼料の助成金継続」と「粗飼料の助成を行うこと」とあります。
処理方針を見ますと、配合飼料に関しては触れられているんですが、粗飼料については草地の基盤整備だったり、機械導入だったりと、直接支援というよりも間接する周辺環境の整備をやっていますよと。粗飼料の生産拡大を推進していますというふうにとどまっています。
この陳情の内容は、「配合飼料と同じように粗飼料にも直接支援をしてくれ」と私は読み取っているんですが、支援の内容が違っている理由を教えてください。
(畜産課長) 県では、飼料価格高騰対策として、令和4年度より配合飼料購入費の一部補助等を実施しておりますが、粗飼料生産の支援に対する要望についてもあるものと認識しております。あと、本県は他県と比較して、牧草の生産性が高いことから、草地整備や機械導入事業等の粗飼料生産支援を行っているところです。また、各家畜保健衛生所においては相談窓口を設置して、粗飼料生産に対する技術指導を強化しているところです。
県として、粗飼料については、そういった草地整備や機械導入事業等の推進と、技術的な指導による牧草生産の拡大等について取り組んでいきたいと考えています。
(きゆな智子) いま畜産の方たちが非常に経営が苦しくて、本業をやりながらバイトをしないと生活できないというお話がありました。粗飼料についても、農家さんが餌(となる草)を自分で刈っていて、それでも足りないから草刈りしながらアルバイトしているという状況なんです。
県が粗飼料生産の環境整備のための支援をしていることは評価はしますけれども、今、経営が苦しいというのは、この粗飼料について直接支援してくれということだと思うんです。配合飼料については相当な金額、補正も組んでやっているけれども、なぜ粗飼料に対して同じことができないのかと。これに対しての答えはないですか。
(畜産課長) 県では、これまで和牛繁殖経営に対しては、草地基盤の整備をする畜産担い手整備事業でございますが、和牛については、草地基盤を持つことがもう非常に重要になってきますので、その草地基盤をする事業をずっと推進してきて、沖縄県内に比較的十分な草地面積が確保されております。あと、その草地の中で、いかに優良な牧草を作っていくかというところもあります。
今、粗飼料の支援については、酪農家と肥育農家等にしているところですけれども、酪農家については十分な草地面積を持っていないことから、あと肥育農家も十分な草地面積を持っていないことから、粗飼料の支援について、酪農と肥育のほうには実施しているところです。
(きゆな智子) 酪農以外の畜産をやっている方からの要望で、草地整備もやった、生産性の高い草もあると。だけど幾ら草を刈っても、結局競り価格が低いから、もう無理だと言っているわけです。「草地を整備しています」は、この陳情への答えにはならないと思うんですね。
酪農家に関しては、耕地面積がないから粗飼料を支援しているということですけれども、この陳情は草をちゃんと育てたとしても、コストをかけて人を調達するお金もない、もう自分たちだけで餌の草を準備しているけど、生活できないという、そこに対して何らかの支援をしてくれという内容なんです。繰り返しの質問ですが「草地があればあとは自分で頑張ってね」でいいんでしょうか。
(畜産課長) 肉用牛繁殖経営については、今経営が厳しい状況で、飼料価格の高騰等いろいろありますが、子牛価格の下落も非常に大きいところです。経営的な部分の支援については、子牛の価格の補助について、ある程度経費も基準価格を下回った部分の補助になりますけれども、その基準価格については、様々な経費も考慮した上で出されているものです。肉用牛繁殖農家の経営安定を図る取組としてやっていきたいと思います。
(きゆな智子) 繁殖農家が販売というか、競りになるんですかね、基準価格を下回ったときの補助で、こういう粗飼料のコストも含めて回収できなかったら、支援が足りないということじゃないんですか。
(畜産課長) 先ほどお話ししました基準価格については、国が定めた基準価格がございますが、国は再生産可能な基準価格というものを設けております。その基準価格に基づいて、全国平均がその価格を下回ったときに、補塡される仕組みですけれども、沖縄県は全国平均よりも価格が低いというところもあります。沖縄県独自で和牛子牛の価格補塡の事業も実施しているところで、農家の再生産可能な部分の補塡をしているという認識です。
(きゆな智子) なかなか話が進みませんが、配合飼料の支援はとても評価されていると思います。ただ、そうではない粗飼料の部分の苦労がいま大きいと。草を刈って、それで牛が育って売れればいいけれど、それで回収できないから、粗飼料にも支援をしてくれという趣旨です。ぜひ今後、粗飼料の助成金についても、実現に向けて動いてほしいですがいかがでしょうか。いくら牧草地が増えて、草が育っても、そこから先が目詰まりしている状況です。ここに対して緊急的にでも何らかの支援が必要だと思いますが、検討も難しいですか。
(農林水産部長) 粗飼料の助成に関する要望は、沖縄本島中南部、特に草地面積がなかなか確保できないところの農家からの要望が、アンケートを取っても多いというのは認識しております。
ただ、また一方では、沖縄県、草地の面積、年中温暖であることで他県と比べて、草地の回転というんですか、粗飼料の自給率というのは高いということで、配合飼料は外国からの輸入ということで、どうしても購入しないといけないんですけれども、粗飼料に関しては、自分たちで草地を確保すればある程度できるということで、基盤整備や機械導入を進めているところなんです。一方、中南部の農家は面積が狭いということで、耕作条件、こういう事業とは別に、また耕作放棄地の事業でもって、草地に変えたりという事業もやってはいるんですけれども、なかなか要望というのがあるので、少しまたその辺に関しては、聞き取りもしながら、どういった形で、少し粗飼料に関して自給率を上げることができるか検討してまいりたいと思います。
(きゆな智子)自給率を上げること、沖縄でこれだけ草(粗飼料)が育つという優位性は生かしてほしいと思います。
ただこの陳情は、配合飼料と同じように、目の前の緊急性を乗り切るために、粗飼料にも直接の支援をしてほしいということです。今までやってきた環境整備だけでは足りないのではないかというところは、改めて指摘をしたいと思います。ぜひこの陳情の意図を酌み取っていただきたい。ぜひお願いをいたします。
以上