県立病院の労務管理・事務効率化はどうなる?総務システム導入の適切性を問う③
この件の進捗、問題指摘を本会議一般質問で行いました。
令和6(2024)年7月18日
6月定例会
一般質問
◆ 県立病院の事務集中は誰のため?
県は病院事業局の事務を一括で処理する「総務事務センター」を設置するも、時間外勤務の支払い遅れや職員の業務負担の解消につながっていません。現場の声を無視したシステム導入から端を発しており、導入後の無理を懸念し現場の声を反映した運営改善を求めています。
病院事業局の総務事務センターについて。
(喜友名 智子) 設置前後の事務職員の人数と残業時間の変化を伺います。
(病院事業局長)病院総務事務センターは、令和5年4月に設置しております。
病院事業局の事務職員の定数は、設置前の令和4年度は210人、設置後の令和5年度は215人となり、5人増加しています。
また、事務職員1人当たりの月平均の時間外勤務時間数は、令和4年度が約 21.3時間、令和5年度が約22.7時間となっており、約1.4時間増加しています。病院事業局では、これまで北部病院、宮古病院及び本庁の総務事務を同センターに移管したところですが、令和7年度までに全ての病院の総務事務を段階的に移管するとともに、今年8月からは病院総務システムを稼働させ、事務の効率化と適正化を図っていくこととしております。
(喜友名 智子)総務事務システムの開発・運用について現状はどうなっているでしょうか。
(病院事業局長登壇)病院事業局では、令和4年度に調達した病院総務システムについて、令和5年度は医師の働き方改革を含む病院独自のシフト勤務に対する勤務管理機能等の改修を行い、令和6年度は病院現場の追加改修要望を踏まえた勤務状況の見える化、ユーザーインターフェースの改善などを実施し改修を終えました。現在は8月の本稼働に向けて各病院現場の協力を得て、システムの最終検証を行うとともに、各病院の医局を中心に操作説明会等を実施しているところです。
(喜友名智子)この2月議会までに、本会議でも委員会でも相当質疑をしてまいりました。
答弁での職員数が 210名、215名ということで、総務事務センターの職員ではなくて、事務員全てのトータルではないですか。
改めて総務事務センターの人数、今何名なのか、確認させてください。
(病院事業局長) 総務事務センターは、令和5年4月から病院事業局本庁の課内室として、職員7人―室長1人、主幹1人、室員等4人、事務補助員1名の体制で業務を開始 しております。
(喜友名 智子) 合計何名ですか。
(病院事業局長 )7名です。
(喜友名 智子) 改めて総務事務センターを設置した目的、令和7年度までに全ての病院の総務事務全て移管をするということでしたけれども、もともとの目的は何だったでしょうか。
(病院事業局長)総務事務センター設置の目的は、給与事務処理の効率化、適正化及び担当職員の負担軽減としております。
令和3年度に県立病院ビジョンにおいて、事務の効率化、適正化を図る観点から、総務事務集約化の取組を位置づけて、これらを踏まえ令和4年度に総務事務集約化に関する基本方針を定め、令和5年4月に集約化組織として病院総務事務センターを設置し、令和7年度を目標に段階的に事務の集約化、移管を進めているところです。
(喜友名 智子) 事務の効率化、集約化、適正化、先ほど総務事務センターではないと思うんですけれども、残業時間が事務部署で微増している、残業時間がトータルで増えているという御答弁でした。この
病院総務システムは8月から稼働するということです けれども、今の時点でこの適正化や効率化、それから
職員の負担軽減につながっているとお考えですか。
(病院事業局長) 今段階で本格稼働までちょっと時間がかかります。それから事務職の時間に関しては、総務事務センターだけじゃなくて、各県立病院にはいろんな、例えば令和5年度は中部病院では電子カルテの更新とか、それから南部医療センターでは九州厚生局の特定共同指導とか、いろんな時間外を要するような事案がありましたので、現時点で軽減ができているということはないと思いますけれども、そういうのはなくて、令和7年から段階的にはその負担軽減になっていくものと思っております。
(喜友名 智子)各病院から総務事務センターに事業の移管、それから現状確認も含めて本庁のほうに移動させながら業務を整理していくと。
しかし、2月までの委員会の中では、 病院によっては事務職員が減るどころか仕事が増えたので会計年度の形で増やしましたという病院もあって、総務事務センターを設置した、そして病院の中にはそのために事務員を増やしたという話を鑑みると、とても負担軽減にはつながっていない。そして8月の稼働以降もこれが解消されるのか、先がよく見えないという理解をしております。
8月にこの勤務管理のシステムが稼働後、総務事務センター、それから各病院の給与計算の職員の残業、どの程度見込んでいるんでしょうか。
(病院事業局長) 総務事務の集約化によって、各県立病院の給与事務担当者等の負担軽減につながるものとは考えておりますが、時間外労働は業務量のほか、職員体制―様々な要因によって増減するため、総務事務センター集約による時間外労働の削減に
ついてなかなか目標が定められないところではありますけれども、本格的稼働の後には段階的には軽減していくものと考えてはおります。
(喜友名 智子) ここからは局の案件 ではありますけれども、ぜひ知事、副知事に認識をお答えいただきたい部分なんです。
2月議会で、この総務事務のシステム開発、当初の予算の3倍であるということを質疑で明らかにいたしました。
今回、こういった3倍の予算をかけながら、職員の負担軽減にはなかなかつながる見込みが見通せません。
この事業の評価、それからもともと契約に関しても本来不適切ではなかったかということも再三委員会で指摘をしております。
今の時点で結構ですけれども、この事業の受け止め、それから問題点、どのように認識されているでしょうか。
(池田竹州 副知事) 知事部局におきましても総務事務センターを導入して事務の効率化に取り組んでいるところです。
導入直後から当初の効果が必ずしも出たわけではなくて、やはり一定の試行錯誤をや りながら取り組んできた面もあります。
システム開発の部分については、私ども直接見ていませんので、3倍というのがどのような形でなったのか、機能の強化であるとか、当初の見積りがどうだったかというところはコメントを差し控えますけれども、県庁の中だと各課でやっていた認定業務などが集約化されたことで、各課のいわゆる経理の負担というのはかなり軽減されていると思います。そういった観点で病院のほうもそういう導入に向けて取り組んでいると考えております。
(喜友名 智子 )改めて病院事業局長にお伺いしますけれども、今後開発の追加予算は予定されていますか。
(病院事業局長) 現在のところ追加予算は考えておりません。いわゆる当初からの経費の膨らみについて、去年の4月から来ていろいろ質問されていますのでいろいろ考えましたけれども、やはり最初の事務方でそれを決めた一つの、何といいますか、今各課の班長以上がいわゆる問題点を共有できてないというのが、もしかしたら一つの要因になるかもしれ
ません。
そういうことで、今年になって統括監のアイデアで各課の班長以上を集めてラウンドテーブルで問題点の共有を始めています。それから現場とは、当然コロナ禍でなかなかコミュニケーションが取れなかったとは思いますけれども、これももともと現場主義で医療をやってきましたので、今病院事業局のメンバーは足しげく現場に出かけて行って、ヒアリングをして問題点を拾い上げて、今回のことを一つの反省材料として次につなげていきたいと考えています。
(喜友名 智子) このシステム開発については、先ほど池田副知事からは詳細はまだ見てませんという意見でしたけれども、おそらく知事部局であれば、これは行政管理的に問題のある進め方、予算のつけ方だったのではと指摘せざるを得ない内容だと思います。
病院事業局の問題ではありますけれども、県の一般会計からも出ていますよね、この開発予算。
次年度の予算に含めることはないものと思っていますが、これを入れた場合、予算案については相当厳しいことを言います。
それぐらい問題のあった進め方だと思っています。保守管理費も今後かかるということですけれども、ぜひ知事部局のほうでも今回のこのシステム開発のプロセスを見直していただきたい、振り返って遡及でもいいですから見直していただきたい。
(池田竹州 副知事) 病院事業局から情報収集して検討したいと思います。
以上