お知らせNews

「子どもの権利」拡充の取り組みについて県の姿勢を問う

子ども家庭庁が発足し、県でもそれに合わせた部局編成が検討されています。
沖縄で「子どもの権利」をより尊重するために、いまの県条例を子どもの「虐待防止」に加え、日常生活での「保育・教育虐待」防止まで視点を広げる必要性を指摘しました。


令和5年第4回 定例会
本会議一般質問
2023.12.12


(喜友名 智子) 「沖縄県子どもの権利を尊重し虐待から守る社会づくり条例」の制定から3年以上が経過しました。子どもの命を守る虐待防止にとどまらず、大人が思うように子どもを動かそうとする保育・教育虐待をなくす取り組みも、県で必要ではないかと思います。県で「保育・教育虐待」という議論をしたことはあるでしょうか。


(子ども生活福祉部長) 保育所などは、子どもの安心・安全が最も配慮されるべき場であり、不適切な保育や虐待などはあってはならないものと認識しております。教育虐待に関する明確な定義はないと聞いておりますが、子どもの心身に影響を与えるものと認識をしています。教育虐待については、子ども生活福祉部ではこれまでのところ議論をしたことはございません。


(喜友名 智子) この言葉 [保育・教育虐待]は、専門家の間での議論がまだ社会に広がる途中かと考えています。例えば子どもの発達に考慮しないような大人の高圧的な接し方、他の子どもと比較して過剰に責める態度です。「あの子はできていたのになぜあなたはできないのか」とか、大人が求める結果が出ないと子どもを責める接し方。テストでせっかくいい点数をとったのに「何点足りなかった」とか、習い事を詰めすぎる親の問題、子どものためと教育が行きすぎた状態になっているなど、私たちもよく見聞きしていると思います。

これらを県条例の定義に当てはめると虐待にあたりますか。


(子ども生活福祉部長) 児童虐待防止法や子どもの権利尊重条例で定義をしている児童虐待は、保護者等が現に監護する18歳未満の子どもに対する行為となっており、いま議員がお話になったような事例については児童虐待に該当するものではありません。


(喜友名 智子) そうですよね、私もそう思います。一方で、同じ県条例の第3条ー子どもの権利を定義している第3条に照らすと、適切な保育・教育であるといえるでしょうか。


(子ども生活福祉部長) 子どもの最善の利益というのは、親や大人が一方的に押しつけるものではなく、個々の年齢や発達状況、背景などを考慮しながら子ども自身がどう考えているか十分に意見を聞きながら、その意見を尊重することが重要と考えています。いま発言のあったような事例については、虐待という姿勢にはなりませんけれども、人権擁護の観点から望ましくないと考えられると思います。


(喜友名 智子) この第3条で定義されている子どもの権利、子どもの意思表示、それから発達を見極めての対応が必要な場面は、保育・子育ての分野で毎日あるわけです。ただ、先生方の不足、保育士の不足、こういった背景でなかなか余裕を持って接することができないという現状、これに対して県では必要な環境支援をどういう形で行ってきましたか。


(子ども生活福祉部長) 子どもの権利尊重条例に掲げる子どもが個人として尊重され、その最善の利益を考慮されなければならないという基本理念の周知啓発を図るため、各種メディアを活用した広報やイベントの開催、または小中学校生と対象とした出前講座等に取り組んできたところです。


(喜友名 智子) こども庁が発足した、県でも部局編成に取り組んでいる。そして県内では児相や学校、保育園で様々な事案が出てくる中で、子どもの権利をどうやってまた沖縄に広げていくかというタイミングだと思います。

県の条例には、虐待から守る社会づくり条例ということで、どちらかというと虐待防止に主眼を置いた子どもの権利尊重がうたわれていると思っています。

このタイミングで、虐待防止に加えて日々の生活の中で子どもの権利の理解を拡充する、そのような意味で前向きな見直しが必要だと思いますがいかがでしょうか。


(子ども生活福祉部長) 本県の令和5年度における虐待の状況から申し上げますと、対応件数がかなり増えている状況で、令和4年度で2,585件となっています。虐待は、子どもの成長、発達に悪影響を及ぼし、特に子どもの命を脅かす行為であって、児童虐待の未然防止と早期発見に向けて県では取り組んでいく、その視点はいまだ必要であると考えています。 

またこの虐待という視点とあわせて、子どもの権利尊重条例は、子どもの尊厳を重んじ、子どもの権利利益の擁護及び子どもが健やかに成長することができる社会の実現を目指しており、全ての子どもの権利を保障する条例にもなっています。引き続き、子どもの権利尊重条例の基本理念にのっとり、子どもの権利に関する県民の理解を深めるための普及啓発や虐待防止施策等に併せてとりくんでまいりたいと考えています。


参考:「沖縄県子どもの権利を尊重し虐待から守る社会づくり条例」

「子どもの権利」拡充の取り組みについて県の姿勢を問う