令和5年第1回定例会(2月定例会) 文教厚生委員会
令和5年3月22日(水)
この事案につき、文教厚生委員会で「秘密会にて調査委員の参考人招致を」と提案しました。
開催については2023年8月現在も、個人情報保護の観点から委員会にて非公式協議が続いています。
参考記事「県議会、里親委託解除で参考人招致へ 報告書の実態把握を」
琉球新報 2023年3月25日
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1683417.html
(喜友名智子 委員) この件、里親解除されてから1年以上がたちました。先だって、県の特命推進課から依頼をした調査委員会の中間報告がありました。最終報告も含め、この事案に対して児相と部がどういうふうにこの調査報告書を受け止めたのかお聞かせください。
(子ども家庭課長) 中間報告及び最終報告について重く受け止めております。そして、児童相談所といたしましては体制の充実に向けて対応方針を策定しておりまして、まず子供の意向を酌み取る取組を推進するため、子供の意見表明を受け止める体制構築を図るモデルの実施検討や、子どもの権利尊重条例の理念や子どもの権利ノートの活用方法等について、研修等の機会を通して周知徹底を図っていくと。
また困難事案については児童相談所だけで解決を図るのではなく、社会福祉審議会審査部会や外部専門家を積極的に活用することや、毎年度中間と年度末に実施している全ケースカンファレンスにおいて、所長が特に指定する困難事案については児童相談所内他班の班長等も含め、様々な視点からケースを再チェックするなど、ケースの見方の見直しを取り組む必要があると考えています。
また、里親の率直な意見を聞くことを目的に本庁と児童相談所が連携の上、里親全体に対するアンケートを実施し、信頼関係を構築するための参考とするほか、児童相談所と里親会で定期的な意見交換の場を持つこととして、里親や里親会との連携促進を図っていくこととしております。
このほか、職員の資質向上を図るため、当該事案の審査部会答申、調査委員会答申、里親全体に対するアンケート結果を用いて、より丁寧に被支援者に向き合う姿勢の涵養を図るほか、児童相談所業務の基本となる児童相談業務の手引を改定し、研修等を行っていくと、加えて人員配置の強化を図るため、新採用職員の増員や経験者を採用とする仕組みの検討等々、そしてスーパーバイザーの活用などを行っていくと。そしてまた、異例重大紛争を生ずるおそれがある事案については本庁担当課に定例の会議で共有することとし、適時に審査部会を開催できるよう本庁児童相談所体制を強化すると。そしてまた、児童相談所の若い職員が円滑に業務を行えるように児童相談所におけるケースワークの手法等について検討を行っていくというようなことを考えているところであります。
(喜友名智子 委員) 報告書の受け止めの前にこれをやりますという情報が多すぎて、どう整理しようかなと思いながら聞いておりましたが、この報告書を児相の職員の皆さん、それから児相を担当する本庁の所管の方々は皆さんは読んだんですかね。
(子ども生活福祉部長) 調査委員会の最終報告は子どもの権利主体としたソーシャルワークや組織マネジメント、里親との対等的信頼関係の構築の意識が欠如しているといったような厳しい御指摘をいただいたところです。こういった御指摘を重く受け止めております。
当該児童を支える新たな体制を部としてはつくりまして、児童の最善の利益や権利が守られるよう取組を進めてまいります。今回の調査委員会の最終報告書の提言、それから社会福祉審議会でも答申をいただいておりまして、そういったものは職員間で共有をし、同様の事例を起こさないように児童相談所の相談体制の充実に向け、取組を進めているところであります。
(喜友名智子 委員) 当該児童を支える仕組みは今どういう体制になっていますか。
(子ども家庭課長) 児童相談所を中心に行うことになりますけれども、先ほど申し上げました本庁と児童相談所と連携して行うために特別支援チームを設置して対応を行っているところであります。
(喜友名智子 委員) この特別支援チームを構成する方々はどなたになっているのか。
(子ども家庭課長) 子ども生活福祉部子ども福祉統括監、それと青少年・子ども家庭課担当副参事、コザ児童相談所長、コザ児童相談所担当班長、そして中央児童相談所長という構成になってございます。
(喜友名智子 委員) 報告書で相当厳しい指摘を受けて、重く受け止めていますと、部長もおっしゃったわけですよ。そこに対する受け止めや改善策の具体的な内容が分からないのに、厳しい指摘を受けた当事者(だけ)で、該当児童の特別支援チームをつくることは適切なんでしょうか。何の意味があるんですか、これ。問題だと指摘された人たち(だけ)が首そろえて支援していますというのが理解できないんですけど。第三者の目はどこに入っているんですか。どうやってこの子供がどんな状況にあるのかと。誰が判断するんでしょうか。
(子ども生活福祉部長) これまでの取組に対しての御意見、改善策について御提言をいただいたということで考えております。それを踏まえて児相を中心として本庁と連携をしながら取組を進めているということでございます。
(喜友名智子 委員) 厳しい指摘を受けた部や児童相談所がどういう対応の中身を変えるのか不明なまま、新しい子供を大切にした支援をやっていますと表面上は言ってるかのような特別支援チーム。これが里親解除をされた子供の意見を本当に聞く人が本当にいるのかというところの担保が見えないんです。
先ほど児童福祉審議会でしたか、御意見聞きますと言っていましたが、昨年の閉会中審査の中でこの児童審議会の会長さんはいろいろと答弁をなさっていましたけど、この子には会わないで審査をしたということを答えていたわけですよ。子供に直接会わないで、児相や部が出してきた紙資料だけを見て、この子はちゃんと状況の変化を受け止めて今は落ち着いていますということを言う方が、第三者としても何かしらチェックをする立場に置いていいのかなとすら思っています。
この特別支援チームが―今は子ども生活福祉部と児相の中の人たちで構成されているということであるならば、じゃ皆さん方がやっている特別支援チームの動きが実際にこの子の思いや意見を聞いて、適切に心のケアをしていますと。第三者としてしっかりと判断したり、チェックをしたりする立場の人は今いるんですか。 専門家の意見がよければ、私この子に自分が会いに行きたいぐらいですけど。それぐらいこの子の現状、誰が把握しているのというのが不透明なんですよ。私が会いに行くのは駄目ですか、議員として。
(青少年・子ども家庭課長) ケースワークについては先ほど申し上げたチームが中心になっているところなんですけれども、児童相談所の嘱託医師ですね、小児科医とか、精神科医の意見を適宜伺っており、また児童相談所には児童心理司がおります。児童心理司もケースワークに―児童と面会するなどして、児童のケアを行っているところです。したがって、委員おっしゃったように社会福祉審議会、委員の御意見ありますけれども、社会福祉審議会の活用も積極的に行ってまいりたいというふうに考えているところであります。
(喜友名智子 委員) 児童福祉審議会の答弁でも不十分だと私は思っているので、ここに任せているというだけにとどまるのは非常に不安です。調査委員会の皆さん方を正式に特別支援チームのアドバイザーだったり、お子さんと定期的に会う(機会をつくる)とことは難しいんでしょうか。ここまで厳しい指摘をした専門員の方たちが子供にもしっかり会って、関わるということが適切ではないでしょうか。
(青少年・子ども家庭課長) 児童相談所のケースワークは御案内のとおり児童福祉法に基づいた児童福祉司の資格を有し、また法定研修を受けた職員が行うこととなっているところです。 そして、児童相談所としては、児童相談所のケースワークも決して素人ではございませんので、経験もあります。そして、医師等も含めて、大学の研究者等も外部専門家には児童相談所の嘱託としておりますので、そういった方々の助言を得ながらケースワークを行っていきたいと考えております。
(喜友名智子 委員) 資格を持った専門家の皆さん、資格を取るまでにどれだけの勉強をして、知識を得てきて、試験に通って、現場で経験を積んで、しっかりと仕事をしてきた皆さんであるんだろうと私も思います。仕事の全てを否定する気はありません。
けれど、この件に関しては間違いだらけなんですよ。なぜ、これだけ専門家の皆さんが集まっていて、こういう報告書が出るまでの事態になったのか。今までと同じ顔ぶれで仕事をするのは限界もあるんじゃないか。 県民、それから県民だけじゃないですよ、全国でも関心持たれている事案ですから、同じ方々だけで外部の目に触れない形で支援をすることが本当に安全なんだろうかという、本当に疑いの目しかない中でこの子を支えるという、非常に難しい状態にしたのは皆さん方だと思っています。 この中間報告で指摘をされたことで、今後しっかり体制をつくるというのは当然のことです。
加えて、体制づくりをするから、この子のことがなかったことにしてはいけない。この個別具体の目の前にいる里親解除された子供の心のケアを誰がやるのかと。私はこれは皆さん方の仕事ではないのではないかと思っています。
調査報告書の中で、私も初めは報道で知ってびっくりしたのが、委員会の審査中だったかどうか―別の里親のところに移されていたことはもう本当に衝撃でした。何のために委託解除したのか。子供の(生活)環境ががらっと変わるようにほかの里親のところに連れて行くんだったら、今までの里親に預けることがなぜそこまで否定されないといけなかったのか。そこの理由がやっぱり分からないわけです。皆さん方の対応の中でどう総括して、反省をしたのか。
それが分からないまま、「この子はもう新しい場所で落ち着いています」と言われても本当ですかと、そこで止まってしまう。そのときに家族統合や家庭復帰、今までこの子が育った環境を切り離してはいけない。元の里親さんのところで育った記憶、今までの5年間というスパンでの、この子供の人生をどうやってぶつ切りにしないでケアしていくのか、そこの部分のサポートがはっきりしないと、子供を右から左に移して「特別支援チームをつくっているから大丈夫です」という状況が変わらないんじゃないかと思うんですね。元里親さん含めて、この子が今どういう状況にあるのかと、この子の心のケアを誰が実際に行っていくのかというところは、何かもう少し具体的な対応策をこの場でお答えすることはできないですか。
(青少年・子ども家庭課長) 元里親さんがこの子を長い期間にわたって大事に育てていただいたわけです。ただ、その期間、この子に会いたくても会えない実親さんが片方でいらしたわけです。そして、その実親さんが児童相談所の調整不足も当然あったわけですけれども、実親さんが元里親さんの措置を撤回するということが起こりました。そうなりますと児童福祉法上はこの措置を継続することはできません。それで現時点ではこの子の意向を踏まえて、この子が望む形、一般的には親子統合ということになりますけれども、それに向けて実親さんとの交流を重ねながら、この子の心のケアを行っているという状況です。
(喜友名智子 委員) 法律上は実親の権利が今優先されることは何度となく聞きました。今問題になっているのは、これまでこの子が生きてきた環境、元里親の元で生活をして育ってきた環境をぶつ切りにしていますよねと。それをどうやって今後、実親さんの元に戻って家族統合するときにこの子の人生をつないでいくのかというところが問われていると思います。
一度、昨年知事のほうが記者会見をして、実親、元里親、双方に連絡を取って、何かうまくつないだなというタイミングが私はあったと思っています。それにもかかわらずなぜまだこういう対立関係が続いているとおぼしき情報が散見されるのか。そこは皆さんの部、それから児童相談所がどういう対応をしてきたのか本当に分からないんですね。
報告書を見るとやっぱり適切ではなかったという結論を出されているわけですから、それをちゃんと受け止めたのであればこの調査委員の先生方、それから元里親との関係も含めて、やっぱり見直していく、それが目に見える形で対応が見えないと、この該当するお子さんをちゃんとケアしていますということを幾ら聞いても私は「はいそうですね」とはなかなか言えないです。それぐらい厳しい状況の中でこの子の育ちをみんなで見守っていかないといけないということについて、(部や自相の)報告書の受け止めがよく分からない。この部分については、部長改めて見解を伺いたいんですけれども、いかがですか。 もう法的にどうのこうのじゃなくて、本当に人としてどうやっているんですかというケースだと、これは思っています。
(子ども生活福祉部長) 先ほど申し上げましたとおり、調査委員会の調査報告書については大変厳しい内容であり、職員共々重く受け止めているところでございます。何とか子供を中心にした取組をというところで進めているところではございますが、今はまだその途中であるというような状況で、個別の状況については御説明はできませんけれども、支援チームを中心にして取組は進めているという状況でございます。
(喜友名智子 委員) 児相、子ども生活福祉部、その中で構成されている特別支援チーム、その皆さん方がしっかりやっていますと言っても、はいそうですかと言えませんと言っています。そのときに、誰が皆さん方のこの支援のありさまを見て、今は適切な状態ですと言えるのか。
私は県民(に向けたメッセージだったり)、あるいは委員会で答弁をして、この人が「委員、大丈夫ですよと」言うんだったら信用できるなというのは、調査委員会の皆さんであったり、あるいは知事が一度双方に連絡を取っているのであれば知事であったり、あるいは元里親さんが「ちゃんとケアしていますよ」と(いえる)状況になるのか。そういったものがないと、この子今大丈夫な状況にあるんだなというところはなかなか信用されない状況にあると思います。子ども生活福祉部だけではなく、第三者がちゃんと定期的にこの子に会って気持ちを聞いて、大丈夫ですと言えるような立場の人、あるいは組織、これが必要ではないですか。
(子ども生活福祉部長) 今般の事例で本当に当初の児童相談所におけるケースワーク等が足りなかったことが、そもそもこの事態につながったものと考えております。委員おっしゃるような御指摘は―そういうふうに言われることについては受け止めますけれども、しかしながらケースワークは先ほど言いましたように法に基づいて同相談所でやるべきものだと考えております。児童相談所と、それから子ども生活福祉部本庁のほうで連携をしながら、そして先ほど課長のほうから説明をさせていただきました様々な外部の専門家の御意見等を伺いながら取り組んでまいりたいと考えております。
(喜友名智子 委員) 部の皆さんはいつかは異動されますよね。この子が育っている間ずっと責任を持って子ども生活福祉部で、例えばこの子が成人するまでとか、連続して見守るという人はいないですよね、職員の中では。
小さなときの心の傷というのは、今だけではなくて成人―成長しても心に傷が残る、大人になるごとに傷が広がっていくということを精神科の先生、専門家の指摘もあるわけです。だから、そういった中では部だけで大丈夫ですということの限界はまだあるなと思います。
先ほど私がこの児童に会うのは駄目ですかねということを申し上げましたけれども、本当にその可能性は捨てたくない、自分の目で見るまではこの事案に関してはなかなかうんと言えない、はいと言えない状況であるということにやっぱり変わりはないです。この児童のことを考えるといろんな大人がわらわら会いに行くということのリスクも自覚はしていますので、強引なことはしたくないんですけれども、それを盾に取られて皆さん方の個々の答弁だけでことが済むとは思っていないということは最後に申し上げて、質疑を終わりたいと思います。
参考:この事案については地元マスコミにて報道が続いています。
●「児童『会いたい。戻りたい』 里親解除の調査委報告書『児童の悲鳴であふれている』」
琉球新報 2023年3月31日
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1686864.html
●調査委員からも発信があります。
鈴木秀洋・日本大学准教授
沖縄県知事に報告書を提出して記者会見を行いました 2023年2月2日
https://suzukihidehiro.com/data/activity/532/article.pdf?20190425135700