文教厚生委員会
令和4年第7回 閉会中審査
2023年2月7日
病院事業局の参考人招致「県立八重山病院の組織体制について」
2023年2月、八重山病院院長らが「現場の声が軽んじられている」と辞任する事態となりました。定例会閉会中に県議会文教厚生委員会を開催し、状況の確認のため病院事業局と保健医療部に質疑を行いました。
(喜友名智子) ヘリポートや透析治療といった個別の話はほかの委員が行ってらっしゃったのでもう十分かと思います。私からいくつか確認をさせてください。
先ほど来の質疑で、八重山病院からは7名の人員の追加の要望があり、当初返事をしたのは1名の増員だったとありました。八重山病院も含めて県立病院全体では令和5年度医療職員、これは看護師、それから技師を含めて何人の増員の要望があって、実際に次年度4月からは何人増員されるのでしょうか。
(病院事業企画課長) 6病院から合計208人の増員要望がありまして、査定した結果、今回合計10人の増員を行っています。
(喜友名智子) 病院現場全体からは208名の増員の要望があり、次年度は10名の増員をすると。一方で、病院事業局では職員を増員する話を聞いています。何名の増員で何のために行う増員なのでしょう。
(病院事業企画課長) ご指摘の内容は、総務事務センターの内容かと思います。今回各県立病院に給与支給事務について一括で処理することから、本庁に給与支給事務を集約してできるように、総務事務センターを設置することで対応しています。目的が病院現場の負担軽減を図ること、最終的には効率化によって浮いた定数を医療部門に配置することもできるので、それで総務事務センターについて査定したところです。総務事務センターの定数配置については令和5年度には北部病院と宮古病院を皮切りに5人分の業務を集約することを勘案しまして、6人の職員を配置することとしてます。
(喜友名智子) この事務センターは病院現場からの要望があったものですか。
(病院事業企画課長) 監査事務における指摘が毎年あり、以前から改善が求められていたということで、平成の―ちょっと年代は忘れましたけれども、総務事務センターがこの本庁の中で企画されていたというのは聞いています。
(喜友名智子) 監査で指摘を受けている、必要な人員配置であろうとは思います。ただ、病院から208名の要望が上がっている中でそこは10人しか増員せずに、この事務員については6名の配置をすると。人員配置の優先順位として適切なのかなというところは疑問に思います。
この事務センターの配置で病院現場はどう逼迫状況が助かるんですか。先ほどの説明だと、事務が効率化することで、ひいては病院現場に、予算や人がゆくゆくは割けるようになりますということで、間接的な影響程度の改善しか見込めないのではと理解をしております。今これだけ逼迫している現場に人を優先的に回さずに、事務センターを先に人を配置するという優先順位はどういう経緯で判断されたんでしょうか。
(病院事業企画課長) 令和3年度に今後5年間程度の中期的な組織・定数の考え方を整理した計画というのをつくり、そこで令和4年度に108人を増員しているんです。それで5年間の計画として配置していく計画を策定し、それに基づいて対応しており、これとはちょっと別枠ということで考えております。
(喜友名智子)今後この増員をしてきた背景というのはまた別途聞きたいと思います。
今申し上げたいのは、当初の計画で事務員の増員というものはあったにせよ、今院長まで辞表を出すというほど逼迫している病院現場からの人員増になぜ同様な対応ができないのかということが、局の姿勢として問われているのではないかということです。
本庁内に事務を集約したとして、北部、八重山、宮古という離れた地域の事務がどれほど現場に近いような形でプロセス改善できるのかというところはどういうふうに今お考えですか。
(病院事業総務課長) 集約化に当たっては総務事務システムの導入を考えております。職員がいろいろ申請とかをシステムで行うという形で中間事務を廃止して、集中組織で処理することを考えています。これによっても業務の効率化とかが図られるのではないのかなというふうには考えております。
(喜友名智子) ありがとうございます。
視点を変えたいんですけど、保健医療部長。コロナ患者の入院調整は県庁で、統括本部で調整していると聞いています。これ全県対応していますか。
(保健医療部長) コロナの入院調整は、対策本部で行っているものについては主に人口が集中している南部、中部の患者。那覇市もそうです。宮古、八重山、それから北部については地元の県立病院、あるいは民間病院を中心にして保健所が協力しながら入院調整、あるいは健康観察を行ってきているという状況です。
(喜友名智子) コロナの入院調整一つ取っても、本庁で対応できるのは人口が集中している中南部であると。人の健康に関わることは現場に近い病院のほうがより対応できるという一つの事例だと思います。
県で事務を集中させるセンターの立ち上げは、監査の指摘に対応するため必要性はないとは言いませんけど、逼迫している現場の要請と応える優先順位がやはり順番が違うのかと指摘はしておきたいです。
もう一つ、今回の辞職の報道で1年前のことを思い出しました。
1年前に局長が留任されるというときに、これに反発をした方たちが県に人事方針を改めてくれという要請をしたのがちょうど1年前の今頃だったと思います。私も県議になって2年目ぐらいのときにこういうことが起きて、局と病院の院長さんたちでなぜこんなに意思疎通が図られていないのか。これ1年後どうなっているのかなという心配をしながら委員会でも質問をしたことをよく覚えています。
今、人事の時期になっています。その時期に何が改善されてきたのかということを疑問に思わざるを得ないんです。局長、この件1年前から振り返ってどういうふうに信頼を改善しようと取り組んでこられたのか。先ほどからもいろいろと会議を持ちましたというお答えがありましたけれども、1年前のことを振り返ると相当に今回のことも深刻だと思っています。
今回このような状況になって、局としてほかにやるべきこと、できたことがあったのではないかということ何かありましたらお答えいただけますか。やってきたことについてはこれまでの答弁で十分聞きましたので、逆にこういうことをできればよかったのかなというところを聞きたいです。
(病院事業局長) 1年前に人事のことで話がありました。このことを踏まえ、先ほどから話はしていますが、私としては各県立病院の院長らと―院長会議というのはただ議案だけの話合いだけではなくて、例えば人材確保をどうするかとか、それから今こういうことで課題があることも話しながら対応をしているところです。
それから昨年4月以降に幹部職員と我々と意見交換の場を持っていくと、話をしているところでございます。昨年もそうでしたけど、各県立病院の院長からも私のほうからも、事項に関して両方から相対的な話合いの場を持つと、話しかけると、そういうことも必要ではないかと考えています。
(喜友名智子) ありがとうございます。
早めに話合いをしたら何とかなったんじゃないか、現場の意見を聞けばこのようなことが起こらなかったのではないかと皆さんおっしゃるんですけど、私は少し違う意見です。
病院の院長さんたちと意見交換をして、その上でなお、現場からの要望を後回しにする判断をしている。これが県立病院で院長、先生方と局と信頼関係がなかなかできないところにつながっているんじゃないか。
その医療系の職員、現場の職員は増やさないで事務員の配置、それからセンターの立ち上げを優先しているかのような人事配置の数字に私には見えます。
なぜ医療現場に先に人を充当できないのか。この判断基準のずれが今回の辞職につながったんじゃないかと思うんですね。話合いをしたから解決しますという簡単なものではなくて、いろいろと話合いをした上で、それでもなお自分たちの意見が通らないというからこのような事態になったと思っています。
1年後に何名の先生方がまた辞表を出すんだろうと、本当に危機感を覚えています。年度が終わるまでにあと1か月半あるんですよ。ほかの病院の院長から辞表が出たらどうするんですか。それぐらい深刻なことだと思っています。
病院の現場から要望が上がっている追加の職員208名。せめて半分ぐらいは次年度で増やすというぐらいのことを局と保健医療部と一緒になってやっていかないと、今回の八重山病院長の辞職―これにはやはり応えることにならないんじゃないかと、こういう指摘をして質疑を終わりたいと思います。
※読みやすいように一部、編集しています
委員会議事録 第2号 (令和5年2月7日)
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