「島ちゃび」(離島苦)解消に向けて奔走!

離島の状況を反映させた医療計画を―県立病院における分娩介助料の値上げについて

令和3年10月1日に行われた、文教厚生委員会での質疑の一部を掲載します。

今回は、以下の内容について質疑を行いました。

県立病院における分娩介助料の値上げについて

ヘイトスピーチ規制条例について

離島の状況を反映させた医療計画を―県立病院における分娩介助料の値上げについて


『島ちゃび』(離島苦)解消に向けて奔走!


喜友名 智子:分娩介助料と分娩料の違いについて伺う。

病院事業経営課長:分娩介助料とは、例えば帝王切開などの手術を伴う異常分娩時に、医師の介助に対して発生する費用だ。分娩料とは、正常分娩の場合の医師の費用、助産師の技術料及び分娩時の看護師の介助料等の費用だ。

喜友名 智子:分娩介助料と分娩料の財源に違いはあるか。

病院事業経営課班長:分娩介助料も分娩料も実費である。異常分娩の場合、入院料や帝王切開等の医療に伴う処置は保険請求になるが、分娩に係る費用としての分娩介助料が本人負担となる。一方、正常分娩の場合、入院費やお産費用も含めて全て本人負担であり、分娩に係る費用である分娩料も本人負担となる。つまり、異常分娩時の分娩介助料と正常分娩時の分娩料は、名称こそ異なるがどちらも本人負担である。

喜友名 智子:正常分娩と異常分娩の違いによって、病院の収入や経費に大きく関わると考えている。例えば、正常分娩は異常分娩ほどの処置が必要ないにも関わらず、正常分娩の費用の方が安くなるというケースはないか。

病院事業経営課班長:一部保険適用のある異常分娩に比べ、全額本人負担の正常分娩の費用は高くなる。

喜友名 智子:今回の陳情は石垣市からのもので、他の地域から同様の陳情は無いようだ。これは石垣市特有の事情があるのか伺う。

病院事業局長:八重山が他の地域と異なるのは、民間の出産をする場所がないという点だ。本島はもちろん、宮古島にもそういった場所がある。一般的に、分娩に係る費用は県立病院に比べ民間の方が高額になるが、選択肢の限られた八重山では、他地域よりも影響があるかもしれない。

喜友名 智子:この陳情を機に、島ごとの特性を医療計画にも反映させていただきたい。

条例制定に向けて、調査結果等の公開を―ヘイトスピーチ規制条例について


喜友名 智子:私はヘイトスピーチ規制条例に賛成の立場で、これまで一般質問でも取り上げてきた。専門家を交えた検討会議を開いたのであれば、その議論の内容を公表し、県民から広く意見を集める段階に入ったのではないかと考える。
議会の度に陳情があり、内容も幅広くなってきた。当初は観光客に対する言動を対象としていたが、現在は沖縄ヘイトも議論になっている。また、那覇市役所前という具体的な場所から、インターネット上まで含めるべきとの議論もある。この点について、検討会議ではどのような議論がなされたか。

生活企画統括監:地域の実情として那覇市役所前の事例を紹介したが、沖縄県で条例を制定した場合、適用範囲は先島まで含めた全県になるため、他の地域の実情について質問があった。他の地域の状況を把握していなかったため、現在、各市町村や各種団体に照会している。

喜友名 智子:条例が必要な理由、つまり立法事実の認定については、どのような議論があったか。

生活企画統括監:立法事実については、各市町村の状況や県内在住の外国人の意見も調査するようにとの意見があった。現在、調査中である。

喜友名 智子:これまで各市町村に対して行ったアンケート結果はいかがか。

女性力・平和推進課長:令和2年12月、県内市町村にヘイトスピーチに関する調査を実施した。在留外国人や外国人観光客に対する人権に係る暴言や言動の事例について、那覇市のみが当該事例を確認しているとの回答があった。また、県でのヘイトスピーチ条例制定の必要性については、25市町村が必要、9市町村が必要なし、7市町村がどちらともいえないとの回答があった。

喜友名 智子:具体的な活動は主に那覇市内で見られる一方、25市町村が条例の必要性を認めている。この背景について、県の考えを伺う。
また、この点について、検討会議内で専門家の方達から意見はあったか。

女性力・平和推進課長:ヘイトスピーチ解消法施行から5年が経過し、法律の周知、人権の尊重という理念が各市町村で広がってきた結果だと、個人的に考えている。
また、検討会議内では、同様の事案について確認があった。

喜友名 智子:検討会議の内容はもちろん、こういったアンケート結果の公表も含め、条例制定に向けた進捗状況の公開をお願いしたい。

本来の趣旨を念頭に置いた議論を―ヘイトスピーチ規制条例について


喜友名 智子:全国の事例を調べていると、理念型か実効性型かという議論は避けられない。罰則規定について、検討会議内での議論の状況を伺う。

生活企画統括監:具体的な罰則を科す場合、ある程度厳密な規定を置く必要があるとの意見があった。この点はかなり難しい問題で、他府県の事例を参考にしたい。
また、罰則がないことで逆にヘイトスピーチを助長する恐れがあり、理念型では効果が乏しいのではないかとの意見もあった。

喜友名 智子:他府県の事例研究は、罰則という法的な部分では参考になるだろう。一方で、沖縄県と他府県の社会環境は当然異なる。罰則の効果にとらわれて、沖縄と他府県は異なるから罰則も必要ないという、安易な議論にならないか懸念している。罰則の有無だけでなく、沖縄特有の問題を反映させるという点を重視していただきたい。

生活企画統括監:専門家からは、共生をもっと強く打ち出していくべきとの意見があった。また、差別というのは様々なものがあり、外国人に対する差別が1番多いのは沖縄市だが、その点についてどう考えるかという厳しい意見もあった。

喜友名 智子:共生社会というキーワードが少し気になる。また、沖縄の人こそ外国人に対して差別意識を持っている旨の意見は、ヘイトスピーチ規制条例の陳情の趣旨と異なる論点であると感じている。もちろんこういった議論も重要だが、多文化共生の方向で議論が進み、那覇市役所前でのヘイトスピーチやインターネット上での沖縄ヘイトの議論が疎かにならぬよう、意識していただきたい。こういった点については憂慮している。

離島の状況を反映させた医療計画を―県立病院における分娩介助料の値上げについて