伝統工芸は技術の継承とともに、安定して働ける環境づくり、
そのための継続性のある事業展開が必要な分野です。
その中でも、染織物は「テキスタイル産業」「ファッション産業」へ広げることで、沖縄発の産業化につながると大きく期待をしています。
那覇・久米島を中心に工房や展示会などを積極的に訪ね、職人・職場の現状を学ばせていただいています。
小禄地域では3つの工房を訪ねてきました。
【小禄クンジー(紺地)研究会】
那覇市小禄地域では戦前まで木綿・藍染めの「紺地」(クンジー)」の生産が行われていました。一度途絶えかけましたが復興のため発足した研究会のご努力が続き今に至っています。
「うるくクンジー研究会」活動はこちらもご参考ください。
https://aka-gan.com/community/uruku_kunji
個人的なことですが、祖母が着ていた着物の調査もしていただき、私はルーペで縦糸・横糸の織り方を確認するお手伝い。
【琉球びんがた工房ちゅらり】
グレー色でつくった紅型ストールを見たときは衝撃を受けました。
これまでの紅型にもグレー地はありましたが、モノトーンを意識した商品づくりは見たことがなく、新しい作り手さんの意欲に私も刺激されます。
【知念紅型研究所】
那覇市宇栄原にある紅型工房です。
住宅街にあり、窓から工房がチラリと覗ける工房は地域に溶け込み、風情と歴史を感じます(見学には事前予約が必要です)。
ある調査によると染織りの継承事業者のみなさんが得ている収入は月5〜7万円ほどで、副業として行っている方がまだまだ多いのが現状です。
こちらのページにある平成20年調査の表も参考の一つ:【ページを確認する】
就業・事業継続支援としての目標は、染織業界で生産に携わる方々の賃金が、月収25万円以上の水準にすること(それでも年収300万円ほど。そこからもっと伸ばせるように!)。
この点について、県内のとある工房では「うちは社員全員を月20万円以上の給与水準までもってきて安定させるところまでがんばってきました」、とある施設運営責任者からは「月25万水準までまずもっていきたいよね。ただ、あと5年はかかるとは思う。僕らもがんばるよ、がんばろうな!」などの積極的な意見もいただいたことがあります。
さらに原材料まで視点を広げると、
繊維の原材料も沖縄で生産・調達を増やすことを目指す。
サトウキビのバガスでジーンズをつくったり、パイナップルの葉で衣料生地をつくるなど素材は生産量と生産体制が課題です。
たとえば芭蕉布の糸をつくるまでのプロセスで、バナナの茎をはぐ作業、繊維を糸車で糸にする作業は分業制。年齢を重ねても続けられる地域の仕事だと思うのです。
小禄クンジーの機織り機に触れながら、こちらも長く続けられる手しごとの一つだと思います。目への負担は大きいですが…。
今後も生産者・事業者の現場を理解し、県政につなげるようがんばります。